音符についている♯(シャープ)や♭(フラット)や♮(ナチュラル)などの
臨時記号は小節内のその音を
- ♯(シャープ)は半音高くする
- ♭(フラット)は半音低くする
- ♮(ナチュラル)は♯や♭の解除
を意味しますが、
ト音記号の横にある♯や♭の意味はなんでしょう。
ト音記号の横にある♯(シャープ)や♭(フラット)は調号といって、
その曲に出てくるその音(オクターブの音も含む)すべてにずっと効力があるのです。
では、ト音記号の横にある調号があるもののうち、まず♯(シャープ)があるときについて
見ていきましょう。
目次
ト音記号の横のシャープの意味! 1つ2つ3つ4つで音階や音はどう変わる?
ト音記号の横にシャープが付いている時があって、数が違うときがあると思います。それぞれどういった意味があるのかを見ていきましょう。
ト音記号の横になにもない場合
ト音記号の横に何もない場合はどういった意味があるのでしょうか。長調と短調に分けてみてみましょう。
長調の場合
主音がド(日本語式:ハ 英語式:C)のハ長調
ドレミファソラシド
短調の場合
主音がラ(日本語式:イ 英語式:A)のイ短調
(下り)ラソファミレドシラ
になります。
臨時記号がついていない場合は、すべて音符通りの音で演奏する。
ト音記号の横に♯(シャープ)が1つの場合は「ファ」にシャープがつく
長調の場合
主音がソ(日本語式:ト 英語式:G)のト長調
ソラシドレミファ♯ソ
短調の場合
主音がミ(日本語式:ホ 英語式:E)のホ短調
(下り)ミレドシラソファ♯ミ
になります。
ト音記号の横に♯(シャープ)が1つの場合
その曲の「ファ」にはオクターブの音も含めてすべて♯(シャープ)がつく
という意味で、「ファ」を半音高く演奏する。
ト音記号の横に♯(シャープ)が2つの場合は「ファ」「ド」にシャープがつく
長調の場合
主音がレ(日本語式:ニ 英語式:D)のニ長調
レミファ♯ソラシド♯レ
短調の場合
主音がシ(日本語式:ロ 英語式:B)のロ短調
(下り)シラソファ♯ミレド♯シ
ト音記号の横に♯(シャープ)が2つの場合
その曲の「ファ」と「ド」にはオクターブの音も含めてすべて♯(シャープ)がつくので、「ファ」と「ド」を半音高く演奏する。
ト音記号の横に♯(シャープ)が3つの場合は「ファ」「ド」「ソ」にシャープがつく
長調の場合
主音がラ(日本語式:イ 英語式:A)のイ長調
ラシド♯レミファ♯ソ♯ラ
短調の場合
主音がファ♯(日本語式:嬰へ 英語式:F♯)の嬰へ短調
(下り)ファ♯ミレド♯シラソ♯ファ♯
ト音記号の横に♯(シャープ)が3つの場合
その曲の「ファ」と「ド」と「ソ」にはオクターブの音も含めて
すべて♯(シャープ)がつくので、「ファ」と「ド」と「ソ」を半音高く演奏する。
ト音記号の横に♯(シャープ)が4つの場合は「ファ」「ド」「ソ」「レ」にシャープがつく
長調の場合
主音がミ(日本語式:ホ 英語式:E)のホ長調
ミファ♯ソ♯ラシド♯レ♯ミ
短調の場合
主音がド♯(日本語式:嬰ハ 英語式:C♯)の嬰ハ短調
(下り)ド♯シラソ♯ファ♯ミレ♯ド♯
ト音記号の横に♯(シャープ)が4つの場合
その曲の「ファ」と「ド」と「ソ」と「レ」にはオクターブの音も含めて
すべて♯(シャープ)がつくので、「ファ」と「ド」と「ソ」と「レ」を半音高く演奏する。
このようにまだ続くのですが、シャープがつく場合はこれぐらいにして、
次に、ト音記号の横に♭(フラット)がある場合についてお話しします。
ト音記号の横のフラットの意味は? 1つ2つ3つ4つで音階や音はどう変わる?
ト音記号の横にフラットが付いている場合も、フラットの数で意味や演奏の仕方に違いが出てきます。
それぞれ長調と短調の場合に分けてみていきましょう。
ト音記号の横に♭(フラット)が1つの場合は「シ」にフラットがつく
長調の場合
主音がファ(日本語式:ヘ 英語式:F)のヘ長調
ファソラシ♭ドレミファ
短調の場合
主音がレ(日本語式:ニ 英語式:D)のニ短調
(下り)レドシ♭ラソファミレ になります。
ト音記号の横に♭(フラット)が1つの場合
その曲の「シ」にはオクターブの音も含めてすべて♭(フラット)がつく
ので、「シ」を半音低く演奏します。
ト音記号の横に♭(フラット)が2つの場合は「シ」「ミ」にフラットがつく
長調の場合
主音がシ♭(日本語式:変ロ 英語式:B♭)の変ロ長調
シ♭ドレミ♭ファソラシ♭
短調の場合
主音がソ(日本語式:ト 英語式:G)のト短調
(下り)ソファミ♭レドシ♭ラソ
ト音記号の横に♭(フラット)が2つの場合
その曲の「シ」と「ミ」にはオクターブの音も含めてすべて♭(フラット)がつく
ので、「シ」と「ミ」を半音低く演奏する。
ト音記号の横に♭(フラット)が3つの場合は「シ」「ミ」「ラ」にフラットがつく
長調の場合
主音がミ♭(日本語式:変ホ 英語式:E♭)の変ホ長調
ミ♭ファソラ♭シ♭ドレミ♭
短調の場合
主音がド(日本語式:ハ 英語式:C)のハ短調
(下り)ドシ♭ラ♭ソファミ♭レド
その曲の「シ」と「ミ」と「ラ」にはオクターブの音も含めて
ト音記号の横に♭(フラット)が3つの場合
その曲の「シ」と「ミ」と「ラ」にはすべて♭(フラット)がつく、という意味で、「シ」と「ミ」と「ラ」を半音低く演奏する。
ト音記号の横に♭(フラット)が4つの場合は「シ」「ミ」「ラ」「レ」にフラットがつく
長調の場合
主音が ラ♭(日本語式:変イ 英語式:A♭)の変イ長調
ラ♭シ♭ドレ♭ミ♭ファソラ♭
短調の場合
主音がファ(日本語式:ヘ 英語式:F)のヘ短調
(下り)ファミ♭レ♭ドシ♭ラ♭ソファ
その曲の「シ」と「ミ」と「ラ」と「レ」にはオクターブの音も含めて
ト音記号の横に♭(フラット)が4つの場合
その曲の「シ」と「ミ」と「ラ」と「レ」にはオクターブの音も含めて
すべて♭(フラット)がつくので、「シ」と「ミ」と「ラ」と「レ」を半音低く演奏する。
では最後に、曲のはじめにはありませんが、途中で調が変わるときにあらわれる
ト音記号の横(ではないことが多いですが)の♮(ナチュラル)について解説します。
ト音記号の横のナチュラルの意味は? 効力はどこからどこまで続く?
ある曲がト音記号の横に♭(フラット)4つの調ではじまり、
段の途中や最後に二重の線(複縦線)がひかれ、
そのあとに♮(ナチュラル)と新たに♯(シャープ)が書かれ、
次の段はト音記号の横に♯(シャープ)ひとつの調号となっていたとします。
この♮(ナチュラル)は何を意味するのでしょうか。
♮(ナチュラル)は♯や♭の解除を意味しますので、
曲のはじめから、ト音記号の横に♭(フラット)4つの調で演奏してきましたが、
この♭(フラット)4つを解除して、
次の段からト音記号の横に♯(シャープ)ひとつの調で演奏する、ということになります。
この場合、♮(ナチュラル)の効力は、その小節から次に調が変わる指示があるまで、
オクターブの音も含めてすべての音にあります。
指示がなければ曲の最後まで
♮(ナチュラル)のついた音は、ここ以降、音符通りに演奏すればいいというわけです。
まとめ
ト音記号の横にある♯(シャープ)や♭(フラット)の意味について見てきました。
【音符についている臨時記号】
→小節内の音にだけ効力がある
【ト音記号の横にある♯(シャープ)や♭(フラット)=調号】
→曲の最後まで効力があり、オクターブの音も含める
ところで、
ト音記号の横に♯(シャープ)がひとつつくときは、ファにつくと決まっています。
2つめはド、3つめはソ・・・となります。
ファ ソ ラ シ
ド ド レ ミ
ト音記号の横に♭(フラット)がひとつつくときも、シにつくと決まっています。
2つめはミ、3つめはラ・・・となります。
♯(シャープ)がつく順と逆になっています。
シ ラ ソ ファ
ミ ミ レ ド
調のパターンとして、
- ト音記号の横に調号なし
- ♯(シャープ)が1つから7つ、
- ♭(フラット)が1つから7つ
で、15種類になります。
そして、それぞれの調号で
- 響きが明るい印象を持つ長調と
- どちらかというと暗く悲しい響きの短調(主音が長調の主音より半音で3つ下)
があります。
まとめると次のようになります。
♯(シャープ)の数 | 1つ | 2つ | 3つ | 4つ | ・・・ |
長 調 | ト長調 | ニ長調 | イ長調 | ホ長調 | ・・・ |
短 調 | ホ短調 | ロ短調 | 嬰へ短調 | 嬰ハ短調 | ・・・ |
♭(フラット)の数 | 1つ | 2つ | 3つ | 4つ | ・・・ |
長 調 | ヘ長調 | 変ロ長調 | 変ホ長調 | 変イ長調 | ・・・ |
短 調 | ニ短調 | ト短調 | ハ短調 | ヘ短調 | ・・・ |
同じ長調(または短調)の曲でも、主音が変わると曲のイメージが変わります。
作曲家は、自分の想いを伝えられる調で作曲しているのです。