ピアノを独学で始めた方は、まずト音記号の読み方から勉強すると思います。
ト音記号の譜面でつまずきやすいのは、五線譜外に加線がある音の読み方ではないでしょうか。
加線が多ければ多いほど、ぱっと見ただけでは何の音なのかわかりにくいですよね。
この記事では五線譜外に加線がある音の読み方や覚え方について説明します。
また、ピアノの左手の譜面はヘ音記号で書かれていることが多いですが、左手もト音記号で書かれている場合の弾き方についても解説していきます。
目次
ト音記号の五線譜外に加線がある音の読み方は?
初めに、ト音記号の五線譜外に加線がある音の読み方について見ていきましょう。
五線譜の下に加線がある場合と、上に加線がある場合に分けて説明します。
五線譜の下に加線がある場合
まずは五線譜の下に加線がある場合です。
ト音記号が書かれている五線譜では、ト音記号の書き始めの位置、すなわち下から2番目の線が「ソ」の音になります。
「ドレミファソラシド」 を日本式の音名表記にすると「ハニホヘトイロハ」です。
つまり日本式表記の「ト」は「ソ」の音とイコールなので、ト音記号の書き始めの位置が「ソ」の音になるわけです。
下から2番目の線が「ソ」であるとわかれば、ト音記号の五線譜の一番下の線は「ミ」の音になることがわかるでしょう。
その「ミ」から一つ低い音の「レ」は、五線譜の一番下の線にぶら下がるように書きますが、さらにその下の「ド」の音を譜面に表すには線が足りないので、五線譜の下に1本加線します。
加線した「ド」から1つ低い音の「シ」に降りるときはまた加線の下にぶら下げて音符を書き、その下の「ラ」はもう1本加線して表します。
このように、音が順番に降りていって線が足りなくなると1本ずつ加線されていくのです。
五線譜の上に加線がある場合
今度は、五線譜の上に加線があるケースを見ていきましょう。
ト音記号の五線譜の一番上の線は「ファ」の音になります。その線のひとつ上に書かれる音は「ソ」、さらに1音上の「ラ」は加線して表します。
それ以降も同じように、音程が上がっていって線が足りなくなるごとに1本加線していきます。
ト音記号の五線譜外に加線がある場合の音の読み方
- 五線譜の下に加線がある場合、「ミ」の音から1音ずつ下げて数えていく
- 五線譜の上に加線がある場合、「ファ」の音から1音ずつ上げて数えていく
ト音記号の五線譜外に加線がある場合の読み方がおわかりいただけたでしょうか。
五線譜の一番上の線の音と、一番下の線の音を覚えておけば、そこから1音ずつたどっていくと加線がある音も読むことができます。
ですが、譜面を読むたびに1音ずつ地道に数えないといけないのは時間がかかりますよね。
五線譜内の音から2オクターブ以上高い音などは特に数えるのが大変です。
もっと簡単な五線譜外の音の読み方はないのでしょうか?
2オクターブ以上の音の覚え方数え方は?
五線譜内の音から2オクターブ以上高い音は、加線が何本も書かれていて数えるのが面倒になりますよね。
このような場合に、より簡単に数える方法をご紹介します。
音符は線の上にひとつ、線と線の間にひとつ書かれますから、五線譜の上に加線が増えるごとに2音ずつ高い音になっていきます。
つまり加線が1本なら「ラ」、2本ならその2音上の「ド」、3本ならさらに2音上がって「ミ」・・・と続きます。
線が増えるごとに2音上がると覚えておけば、それだけでも1音ずつ数える場合と比べて2倍のスピードで音を数えることができますよ。
ト音記号で2オクターブ以上の音の読み方について、加線の本数との関係を表にすると以下のようになります。
加線の本数 | 1本 | 2本 | 3本 | 4本 | 5本 | 6本 |
音 | ラ | ド | ミ | ソ | シ | レ |
7本目以降の加線も、2音ずつ順番に上がっていきます。
この表を丸暗記する必要はありません。
ですが、「ド」を基準にすると数えやすいので「五線譜の上の、2本目の加線がド」ということだけは覚えておくと良いでしょう。
ト音記号はどこまで下に加線すればヘ音記号のドになる?
ヘ音記号は、ト音記号の譜面で書かれる音域よりも低い音域を読みやすくするためのものです。
しかし、読みにくくはなりますが、ト音記号の譜面で下に加線していくことでヘ音記号の音域を表すことも可能なのです。
ヘ音記号の書き始めは五線譜の上から2番目の線ですから、その上から2番目の線が「へ」=「ファ」の音を表します。
ですから、それを基準に数えると、ヘ音記号では五線譜の1番上の線が「ラ」の音になります。1本上に加線することで「ド」の音になります。
この「ド」の音が、ト音記号の譜面で五線譜の下に1本加線した「ド」の音と同じです。また、これはピアノの鍵盤の「中央のド」でもあります。
下の図は、「中央のド」からその1オクターブ下の「ド」までをト音記号とヘ音記号で表した譜面です。どちらも同じ音を表しています。
「中心のド」より1オクターブ低い「ド」は、ヘ音記号の譜面では五線譜の下から2本目の線と3本目の線の間に表記します。
同じ音をト音記号の譜面で書くと、五線譜の下に4本加線が必要になります。
ト音記号ではだいぶ読みにくいですね。
最後に、左手もト音記号の時のピアノの弾き方について説明します。
左手もト音記号の時のピアノの弾き方は?
ピアノの左手はヘ音記号で書かれていることが多いのですが、ト音記号が用いられることもあります。
最初はヘ音記号で書かれているのに、曲の途中でト音記号が出てくることも。
このような場合、左手をどのように弾けばいいのでしょうか。
「左手の譜面でも、ト音記号が出てきたら右手で弾くの?」
「同じト音記号でも、左手か右手かによってピアノで弾く鍵盤の位置は変わるの?」
というような疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論としては、左手の譜面にト音記号が出てきた場合もそのまま左手で弾き続けましょう。
ト音記号になってからといって右手に替えて弾く必要はありません。
「ト音記号=右手」、「ヘ音記号=左手」ではありません。
確かに左手はヘ音記号で書かれることが多いですが、左手でも高い音域を弾くときはト音記号で譜面が書かれるのです。
また、「同じト音記号でも左手か右手かによってピアノで弾く鍵盤の位置が変わる」ということもありません。
確かに声楽や特定の楽器では、譜面より1オクターブ低く実音を演奏するというケースもあります。
例えばテノール歌手の譜面はト音記号で書かれていますが、実音は1オクターブ低い音域で歌います。またコントラバスの譜面はヘ音記号で書かれているのですが、実際に楽器で出す音は1オクターブ低くなります。
しかし、ピアノの場合は譜面に書かれている通りの音を実音として演奏します。
ですから左手がト音記号でも、右手より1オクターブ低い読み方をする必要はありません。
左手もト音記号の時のピアノの弾き方は?
- 左手の譜面にト音記号が出てきても右手に替えず、左手のまま弾く
- 譜面に書かれている音が実音であり、1オクターブ下げるなどは不要
まとめ
この記事では、 ト音記号で五線譜外に加線がある音の読み方や覚え方について説明してきました。
ピアノを独学で始めてト音記号の譜面の読み方を勉強している人などは、ぜひ参考にしていただければと思います。
一度読み方を理解したら、あとはとにかくたくさんの楽譜に触れることが大事です。
初めは譜面を読むのに時間がかかってしまうと思いますが、それで問題ありません。
読んでいるうちに、加線のある音の読み方にも少しずつ慣れ、譜面を読むスピードが上がっていくでしょう。
譜面の読み方はピアノを練習する上での基本なので、焦らず着実に読み方を身につけていくようにしてください。