バスドラム(コンサートバスドラム)は鍵盤のない打楽器なので、初心者の方からすると音程や音色の違い等はわかりにくいかと思います。
しかし吹奏楽やオーケストラでの演奏となると、まわりの楽器とのバランスや曲調によって表裏どちらをたたくのか、どんな低音を奏でればいいのか、から音程といった細かいところまで、微調整がかなり重要となってきます。
そこで今回はバスドラムのチューニング方法や、音色の変え方、音程のことなどを詳しくお伝えしていきます。
目次
バスドラムのチューニングの難易度と難しい理由
まず、バスドラムのチューニングの難易度に関してですが、ティンパニや鍵盤類などの音階・音程を有する打楽器と比べると難しくなります。
冒頭で述べましたが、音程という合わせるべき指標が無いため、難しくなるのが大きな理由となります。
また、音質やバランス等バンドの役割としても、大切なパートであるため、指導者や顧問の方から要求されることは多く、サイズやマレット・音のイメージなど経験が足らないため応えることができない場合もあるのではないでしょうか?
しかしこれらは、チューニングのやり方を身に着け実践していくと共に、プロの奏者のレッスンを受けたり、演奏を聴くことで改善していくことができるポイントと言えます。
バスドラムのチューニングに必要なもの
使用するのは
- チューナー(周波数を確認する)
- マレット(叩いて音を確認する)
以上の2点になります。
他の打楽器で使用するチューニングキーですが、コンサートバスドラムにはロッドと呼ばれるチューニングキーと同じ役割をするパーツがボルトに付いていることが多いため、使用しているバスドラムを確認し、必要であれば使用してください。
また、演奏時はマレットとの相性も大事になりますので、要求される音に合わせて大きさの違うマレットを3組ほど用意するようにしましょう。
チューニングを始める前に確認すること
チューニングを始める前にまず確認したいのは、使用する楽器の特徴です。
楽器の特徴を確認することで、
- 得意な点を伸ばす
- 不得意な点を補う
- 使用する楽器・マレットを別のものに変更する
など曲調に合わせた音作りをすることができるようになります。
すべてのドラムには、下記のような特徴があります。
口径 | 大 | ←→ | 小 |
ピッチ感 | 低 | ←→ | 高 |
音量感 | 豊か | ←→ | 控えめ |
胴幅 | 深 | ←→ | 浅 |
反応 | 遅い | ←→ | 早い |
音の深み | 深い | ←→ | やや薄い |
コンサートバスドラムに関しては、
胴幅が深いヨーロピアンスタイルは反応は遅いですが深みのある音が鳴るため、音色にこだわりが必要な管弦楽曲・吹奏楽オリジナル曲や特殊効果(P.I.チャイコフスキー作曲『1812年』曲中の大砲)などに向いています。
その逆で胴幅が控えめなアメリカンスタイルは反応は早く歯切れのよい・軽快な音が鳴るため、マーチなどの速いフレーズの刻みやポップスなどに向いているといえます。
また、ヘッドの大きさによってダイナミクスの幅は変わるため、一定の音量で刻み続けるのか、クレッシェンドのロールが登場するのかなど注意したいポイントとなります。
バスドラムのチューニングはどこをたたいて測る?たたき方は?
まず、チューニングをする際にどこをどう叩くのかということですが、大きく分けて2ヶ所です。
それは、
①チューニングボルトの付近
②バスドラムの真ん中
です。
チューニングボルトの付近では、音程感を見ます。
そして真ん中を叩くことで響きを確認します。
音程がよくても響きが悪ければ意味がないですからね。
叩き方ですが、片手で簡単に響きを止めることができるくらいで構いません。
チューニングはどうする?表裏の調整方法
【STEP1】
両面ともチューニングボルトをゆるゆるまで緩めます。
【STEP2】
最初は裏皮です。
裏皮の張り方で音の伸びや音質が決まります。
バスドラムは吹奏楽、オーケストラの中で最低音になるべきなので、なるべく低い音が出るようにします。そのため表側と同じか、それより緩く張ります。
表皮より強く張ると高音域が強調されたり、響きが短くなり詰まったような音になる場合があります。
また、裏は表よりすこし緩めの方が響きが豊かな低音が出ます。
そうすることで、表のアタック音もはっきりするようです。
ゆるゆるのボルトを均等に締めながら叩いていき、皮の「ビヤーン」という音が無くなり、一定の音の伸びが出るまで張ります。
【STEP3】
次に表です。まずは表を裏と同じピッチに張ってみてください。
そこから少しづつ表のピッチを上げていきます。
締める度合いは胴の厚みで変えます(同度~完全5度ぐらいの間ぐらい)。
一般に胴が薄いほど音程差を付けます。
【補足】
離れた場所で他の人に聞いてもらいながら、少しずつ表を張っていきましょう。
響きがどんどん変わって行くのに気づくと思います。音が豊かで音の伸びが長く、低音が出るポイントで終了です。
【注意】
各ボルトを回した回数をカウントして張りを決めるのではなく、音を聞きながら、すべてのボルトが同じピッチになるようにすることです。
また表をチューニングする時は裏皮を押さえて余計な音が聞こえないようにします。
全てのボルトを同じピッチにしないと、皮の振動が場所によって変わるので良くないです。
バスドラ単体で打った時はイマイチなサウンドでも、合奏の中ではよいサウンドに聞こえる場合も多いです。
一回のチューニングで完成と思わず、何日かかけて少しづつ整えていきましょう。
では次に、音程といっても具体的にどのくらいにすればいいのかを周波数と合わせて、具体的に見ていきましょう。
低音の音程・周波数
バスドラムの低音の音量感を出したい時の周波数についてです。
イコライザで100Hzより下を大きく上げる人が多いですが、
むしろ80Hz位から下は逆に全てカットして、150~300Hzくらいの帯域をグッと上げる方が低音感・音量感が増す場合が多いです。
150Hzより下の帯域を大きくすればするほど、締まりのない音色になってしまいますので、締まった音が欲しい時には、100Hz以下はむしろ不要な場合が多いですね。
次は高音の場合の音程を見ていきましょう!
高音の音程・周波数
バスドラムの高音(アタック感)は、意外に高い周波数である1.5KHz~3.3KHzあたりを調整する方が良い場合が多いです。
しかし、6KHzより上は全てカットしても良いのですが、5KHzくらいまでは出しておかないと、バスドラのアタックの迫力が出ない場合が多いです。
では最後に、演奏中で周波数も測れない状況での、チューニングの方法を見ていきましょう!
演奏中のチューニングの仕方
演奏中だと他の楽器の音に負け、チューニングの機械にバスドラムの音は入らないかと思います。
かといって演奏を止めたり、演奏途中で関係のない大きな音を出すわけにはいきませんよね。
そんな中でもバスドラムの音程に違和感を感じた時のチューニングの方法をお伝えします。
それは、「他の打楽器の人に聞いて、アドバイスをもらう」です。
さすがに離れた距離の指揮者や他楽器の人に聞けないかと思いますので、スネア等近い人にこっそり聞いてみましょう。
演奏中に聞けなさそうであれば、演奏が始まる前に「音程がおかしいかもしれないから、その時は教えて欲しい」と伝えておくといいでしょう。
もちろん音感をつけて、他人に聞かなくても自分で他の楽器の人とのバランスを聞いて、自ら調整ができるのが一番です。
それも日頃から意識し、慣れてできるようにしていきましょう。
まとめ
バスドラムの音程について詳しくお伝えしました。
管楽器と違い、慣れるまではわかりにくいかとは思いますが、合奏においてバスドラムは大変重要な役割が多いです。
今回お伝えしたことをしっかりと念頭に置いておき、よりレベルの高いバスドラム奏者を目指しましょう。