「クラリネットのタンポが取れてしまった!」
「タンポに水がたまりやすくて演奏に集中できない!」
練習中や本番中にそういうことにあってしまい、パニックになったことが一度はあるのではないでしょうか?
あらかじめタンポのことや対処法を知っておくことでそんなトラブルを防いだり、起きてしまっても冷静に対処ができるようにしておきたいですね。
そこで今回は、クラリネットのタンポについて、知識から対処法まで詳しくお伝えしていきます。
目次
クラリネットのタンポのサイズ・種類は?
クラリネットのタンポと一概に言っても、1種類だけでなくサイズや種類はいくつもあります。自分に合うサイズや種類を見つけるためにも、どんなものがあるのか確認してみましょう。
クラリネットのタンポのサイズ
クラリネットのタンポのサイズには、5種類あります。
- 9mm
- 10mm
- 12mm
- 15mm
- 17mm
メーカーにより、多少のサイズの違いはありますが、基本的にはこの5種類のサイズ。また、メーカーによって9mmがない場合もあります。
クラリネットのタンポの種類
クラリネットのタンポの種類には、代表的に3つ挙げられます。
- フィッシュスキンタンポ
- ゴアテックスタンポ
- 皮タンポ
があります。それぞれの特徴を紹介しますので、チェックしてみてくださいね。
フィッシュスキンタンポ
一般的なクラリネットのタンポが、フィッシュスキンタンポです。フェルトの上に、ブラダーと呼ばれる豚の腸を巻いたもの。
薄いため、トーンホールに密着するのがメリットです。さらに、リーズナブルな価格も魅力。また、フェルトが柔らかいため、繊細かつ柔らかい音が出るタンポです。
その分のデメリットをお伝えすると、素材が薄い分、耐久力に欠けるところでしょう。湿度、水分の影響を受けやすいため、しわができやすくなります。しわが出てしまうと、雑音が出るようになってしまうのです。
ゴアテックスタンポ
アウトドア用の衣類などでも人気があるゴアテックスをご存知ですか?防水透湿性素材です。そのゴアテックスを使用しているタンポは、湿気を外へ逃がしてくれ、さらには耐久性に優れているメリットがあります。薄いのに丈夫です。
また、表面がツルツルしているため、滑りも滑らかになり明るい音が出るタンポ。メリットが多い分、先に紹介したフィッシュスキンタンポよりも価格は高めに設定されています。
皮タンポ
皮タンポとは、その名の通り、フェルトの上に皮を巻いたもの。耐久性、密閉性に優れているタンポです。音が重めになる印象がありましたが、現在では薄い商品が多く出ているため、滑りも滑らかで柔らかい音色が出るようになったと評判です。
さらに防水加工がしてある皮タンポもあります。そういったものは管理が難しくなる点注意が必要。
皮タンポもフィッシュスキンタンポに比べると価格が高くなってしまうのが、難点かもしれませんね。
種類 | 音色 | ポイント | 価格 |
フィッシュスキンタンポ | 繊細で柔らかい | トーンホールの密着が良い | 安い |
ゴアテックスタンポ | 明るい | 耐久性に優れている | 高い |
皮タンポ | 柔らかい | 耐久性、密閉性に優れている | 高い |
クラリネットのタンポが取れたときの対処法は?
”急にタンポが取れてしまい、そのキーを使う音が吹けなくなってしまった!
だけど本番直前で修理に行っている時間はない!”
そんな時、自分で対処できないと、結局吹けずに終わってしまった、なんて悲しいことになりかねません。
そこで、あくまで応急処置になりますが、自分で対処できるようにしておきたいですよね。
その対処法とは、「のり」を使うです。
「え!?のり!?楽器につけてもいいの?」と思われるかもしれませんが、応急処置であれば、何もせず演奏できずにただ時間が過ぎていくのを待つよりも”まし”です。
このとき、「それなら両面テープの方があとで剥がしやすいしいいんじゃないの?」と思う方もいると思いますが、両面テープには厚さがあり、あまり応急処置には向きません。
なので、のりを使い、その場を乗り越えましょう。
何度も言いますが、あくまで応急処置なので、修理に行ける状態になったらなるべく早く持っていき、のりで仮止めをしている事を伝えて、その部分を洗浄してもらった上できっちり直してもらいましょう。
では次に、タンポの皮が取れた時の対処法を見ていきましょう!
タンポの皮が取れたときの対処法は?
練習を重ねていったり、お手入れの仕方が足りなかったり雑だったりすると、タンポ自体は取れていないけど皮が取れて(破れて)しまうということがあるかと思います。
その時の対処法はタンポを交換してもらうことです。
取れてしまったタンポの応急処置はできますが、皮に自ら応急処置はできません。
いち早く楽器屋さんに持っていき、新しいタンポに交換してもらいましょう。
お手入れをしっかりしていたとしても、長時間練習の摩擦で薄くなり、破れてしまうのは仕方ない事です。
できれば定期的にメンテナンスに持っていき、破れるまでいかない手前で交換してもらうのが理想ですね。
次は、吹いていると水がたまりやすくなってしまった時の対処法を見ていきましょう。
水がたまりやすくなったときにはどうする?
演奏中に楽器に水がたまりやすく、スワブを通してもクリーニングペーパーをしても、どんどん溢れ出してきてキリがない!
という経験はありませんか?
吹けば吹くほど水蒸気が楽器の中に水滴となって溜まっていき、楽器の穴から漏れ出すということは仕方ないことですが、音に支障が出ることなのでできるだけ頻度は下げたいですよね。
ではここから、「水滴がたまりにくい状態を長持ちさせる方法」を説明してきましょう。
【STEP1】
1度全体に丁寧にスワブを通してください。
【STEP2】
よく水が出てくるキーにクリーニングペーパーをはさみましょう。
【STEP3】
まず上管だけを持ち、左手でキーの穴全てをふさぎ、右手で下管との接続部の穴(コルク巻いてる部分)を隙間なくふさぎます。
【STEP4】
右手で抑えている穴と反対側(上側)の穴から息を吹き込み、右手の手のひらはしっかりと穴を密閉させつつ、右手指でキーを一つ押してみます。
【STEP5】
すると、水の溜まっているキーから水が出てくるかと思うので、何度か繰り返し、溜まっている水を出し切りましょう。
【STEP6】
以上の工程を下管も同様に行いましょう。
楽器を解体する必要があるので少し面倒ではありますが、こうすることで、スワブやクリーニングペーパーをする頻度を下げられます。ぜひ実践してみてください。
水滴が楽器にたまりにくくするためには、クリーニングペーパーを使用するとよい
これまでタンポに関わる対処法についてお話してきましたが、そもそもタンポの寿命はどれくらいなのでしょうか?
タンポの寿命を知っておけば、それに合わせて定期的なメンテナンスに行くことができ、楽器自体の寿命にもつながります。
それでは見ていきましょう!
タンポの寿命はいつ?
タンポの寿命は2年と言われています。
あまり吹いていない楽器でも3年たつと、材料に張りが無くなり表面がガサつき状態になってしまいます。
2年といっても演奏頻度、お手入れの仕方、タンポの種類によってばらつきがあるため、お手入れのたびにセルフチェックし、異常にいち早く気づくことが大切です。
また、素人の目で見てもわからない異常もあるため、「◯ヶ月に1回」など、メンテナンスに行くタイミングを決めてちゃんと定期的に行くことがなにより安心ですね。
メンテナンスに行けばプロからのお手入れアドバイスがもらえるかと思いますので、自分でのお手入れも上手になってきて、楽器自体が長持ちするきっかけになるでしょう。
- タンポの寿命は2年
- 何か月かに1回と決めて定期的にメンテナンスするといい
タンポ交換の最適期間は?
クラリネットのタンポを交換する期間は、使用しているタンポの種類やメーカーによるというのが、正直なところ。ですが、だいたい半年程度で交換するといいとされています。
日頃からクラリネットのお手入れを念入りにしている場合は、期間が長くなることもありますよ。
タンポが膨らんでしまっていたり、敗れてしまっているのにそのまま使用するとなると、クラリネットの音色にも問題が生じてきます。半年で交換なんて早いと思うかもしれませんが、少しでも不調を感じた場合は、タンポの交換も考えてみてくださいね。
交換の値段費用は?
クラリネットのタンポを交換するための費用も気になるところ。自分でできないこともありませんが、管楽器のリペアに出した方が安心できるでしょう。ちなみに、クラリネットのタンポを自分で交換する方法は、後程ご紹介しますね。
管楽器のリペアにクラリネットのタンポ交換をお願いした際にかかる費用は店舗によって異なりますが、だいたい1か所の交換は1,000円~。全てのタンポを交換するとなると30,000円以上はかかります。
なかなかのお値段ですが、ではいったいタンポの交換する期間はどのくらいなのか、次でみていきますので、チェックしてみましょう。
タンポがペタペタ音がするときはどうすればいい?
クラリネットを演奏している時に、タンポがペタペタと音を出しているのが気になることありませんか?せっかく演奏しているのに、ペタペタ音が気になって集中できないなんてことも…。
タンポがペタペタ音を出している時は、タンポに水分がたまってしまっている可能性があります。この水分を取り除いてあげればいいんです。
クリーニングペーパーを使用して、タンポにたまった水分を取りましょう!そうすれば、ペタペタ音が気にならなくなりますよ。
タンポ交換を自分でする方法
クラリネットのタンポを交換するのは、専門の方にお願いするのが一番ではありますが、費用もかかることなので、できれば自分で交換したいという方も多いかもしれません。そのため、自分でクラリネットのタンポを交換する方法もご紹介していきます。
まずクラリネットのキィを分解する必要があります。この際、普段はなかなか手入れができないところも念入りにふき取りましょう。
そして古いタンポを外し、新しく用意したタンポを専用の接着剤でつけてください。これでタンポの交換ができたように思いますが、これで終わりではありませんよ。
そこからトーンホールとタンポの間にヘラと呼ばれる道具を挟んで、調整しましょう。そうすることで音が出るようになります。
新しいタンポに交換すれば、今までクラリネットから出ていた音とガラリと変わることもありますし、吹きやすくなることも!
ちなみに交換は1か所のみ、数か所、全部と自分で決めることができます。初めてのタンポの交換の場合は、一度に全て交換するのはリスクもあるので、まずは1か所を交換してみてくださいね。
そしてうまくいくようであれば、交換が必要と感じた全てのタンポを交換してください。
クラリネットのタンポ交換
- 1か所1,000円程度
- すべて交換すると30,000円程度
- 半年に一回程度交換するとよい
タンポを変えたときに音が詰まる?
「タンポを変えたあとは音が詰まって、吹きにくいような感じがする。」
「交換後しばらく慣れるまでは仕方ないのかな?」というような声をたまに耳にします。
結論からお伝えすると、これは“異常”が発生している場合が多いです。
交換前のタンポと新しいタンポの材質が変わったことで音色が少し変わることはあります。しかし「詰まったような感じ」等、少しの音色の変化ではなく、悪い方向に変わってしまっていることは基本的に異常と捉えていいでしょう。
腕のいい職人さんに交換してもらえば、そういうことは起こりにくいようです。
ですから、そういった異常に気づいた時、しばらく吹いてみても悪い状態が改善されないようであれば楽器屋さんに持っていき、その旨を伝えて腕のいい人に再度みてもらいましょう。
調整でお金がかかったのに、またお金がかかるんじゃないかと懸念してしまう人もいるかと思いますが、
大体の楽器屋さんはメンテナンス後数ヶ月の保証期間があるところが多いかと思いますので、心配であれば行く前に修理に出した楽器屋さんに問い合わせてみてください。
そうすれば、きっと交換前よりもいい音が出る状態にしてもらえるかと思います。
まとめ
クラリネットの音色の命とも言えるタンポについてみていきましたが、いかがでしたでしょうか?いざご自分の楽器に異常が起こった時に対処できないと意味がないので、最後に要点を見て振り返りましょう。
- クラリネットのタンポが急遽取れてしまった時の応急処置は”のり”
- タンポの皮が取れた(破れた)ら、楽器屋さんに交換してもらう
- 水が溜まりやすくなったらスワブを通したあと、楽器を分解して息で押し出し、溜まりにくいようにする
- タンポの寿命は2年と言われているが、数ヶ月に1回の定期的なメンテナンスが重要
- タンポを変えたあとの悪い変化(音が詰まった感じがする等)は再度楽器屋さんへ相談する
以上、要点を抑えておき、いざという時にしっかりと対処できるようにしておきましょう。
文中でも何度かお伝えしていますが、タンポの問題は楽器の寿命に関わってきます。
大事な楽器を長持ちさせるためにも、日頃からのチェックをおこたらないように心がけましょう。
そうすればきっと楽器もあなたの愛情に答えてくれて、いい音色を出し続けてくれることと思います。