ティンパニの担当になったけれど、マレットの持ち方や叩き方のコツ、ロールの練習方法などを、実はきちんと教わったことがないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マレットの持ち方やティンパニの叩き方、ロールのコツなど、知っておきたい情報や基本的な練習方法について説明します。
教えてくれる先輩がいなかったり、指導者が詳しくなかったりして、今までなんとなく練習していた方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ティンパニマレットの持ち方と注意点は?
ティンパニマレットは、マレットの真ん中よりやや下くらいのところを、親指と人差し指でつまむように握り、残りの指は添える程度にして持ちます。
注意点としては、下記の2点が挙げられます。
- マレットを短く持たない(上の方を持ちすぎない)
- 中指、薬指、小指に力を入れない
いずれもマレットのコントロールがしにくくなりますので、注意しましょう。
また、ティンパニマレットの持ち方は、構えた時の手の向きでさらに3通りあります。
- 手の甲を上に向けて構える方法…スナップを利かせやすく力強く叩く場合に向いた持ち方
- 手の甲を真横に向けて(親指を上にして)構える方法…親指以外の指が使いやすいので、細かい叩き方に向いている持ち方
- ①と②の中間
決まりはないので、試してみてやりやすい方法で持つといいでしょう。
続いて、もっと楽に楽器を演奏するための力の抜き方について解説します!
力を抜く方法
間違った奏法で練習を行うことは、上達の妨げになるだけではなく、腱鞘炎など体の不調を引き起こす危険性があります。
例えば、以下のような方法です。
- 大きな音を鳴らすために、力任せに叩く
- 速い動きをするために、腕全体に力を入れて叩く
力任せに叩く音は単調な音になりがちですし、腕全体に力を入れて叩くと、すぐに疲れてしまって長い時間の演奏は難しくなります。
音色を作るためにも、長時間練習しても体を壊さないようにするためにも、意識的に「力を抜く」ことが非常に重要です。
力を抜くトレーニングとしては、以下のような方法があります。
- 肩、腕、手首、指の力を抜き、ダラーンとさせる(この状態を覚える)。
- リラックスした状態で腕をあげる→一瞬で力を抜き、ダラーンとさせる。
- ②を数回繰り返したら、マレットを持って、腕をあげる→ダラーンを繰り返す。
- ③を数回繰り返したら、練習台に向かって、腕をあげる→ダラーン(練習台を打つ)を繰り返す。
- 右手を行ったら、左手も同様に行う。
力を抜く感覚を身体に覚えこませるために、毎日行いましょう。
余計な力が抜けることで、マレットのコントロールが楽になり、より自然に速く叩くことができるようになります。
続いて、家でティンパニの練習がしたい場合にできることについて解説します!
家で練習するときの叩き方のコツや練習方法
ティンパニはスネアなど他の打楽器とは違い、跳ね返りがあまりないので、練習台での練習はあまり効果がないでしょう。
楽器の代用になるものはなかなかありませんが、どうしても家にあるもので叩いて練習したいなら、クッションなど跳ね返りがあまりないものがおすすめです。
楽器以外のものを叩くとマレットの消耗を早めますのでほどほどにしておき、脱力のトレーニングや楽譜の読み込みをするのもいいですね。
次に、学校や所属団体で楽器に向かって練習する時の方法について解説します!
楽器で練習するときの叩き方のコツや練習方法
まずはティンパニ特有の基本奏法をしっかり身につけるための練習が必要です。
身につけるべきポイントは以下です。
- マレットを正しく持つ→叩いた時の跳ね返りを意識し、それをうまく吸収できるような持ち方を身につける。
- 叩く位置→ティンパニの中心とリム(縁)の間の位置を基本とし、安定して叩けるように練習する。
- 音の止め方→中央から手前に向かってヘッドに触れる動きで音を止める。瞬間的な止め方、余韻を残す止め方などバリエーションを身につける。
- 4つのティンパニ間のマレット移動の練習→最大サイズの4番ティンパニから最小の1番ティンパニまでを、叩きながらスムーズに動けるように練習する。
具体的には、上記ポイントを意識しながら下記の方法で練習します。
- メトロノームを用意し、♪=60(慣れたらもっと速くてもOK)にセットする。
- 全音符、2分音符、4分音符、2拍3連、8分音符、3連符、16分音符・6連符を、それぞれムラなく叩けるように練習する。
この時、力が抜けているか、正しい姿勢かをチェックしながら行うといいでしょう。
続いて曲のジャンルごとに叩き方がどう違うのか解説します!
曲のジャンルごとの叩き方と練習方法
ティンパニは曲によって求められる音が違います。
音の違いを出すには下記の方法があります。
- マレットを使い分ける:ゆっくりした曲なら柔らかいマレット、速くリズミカルな曲なら硬いマレットを使うなど。
- マレット以外のもので叩く:手(野生的な音)、マラカス(ティンパニとマラカスの音を一度に出せる)など。
- ティンパニの上に何かを載せて叩く:シンバル(風や海の音を表現)、タンバリン(マラカス同様、ティンパニとタンバリンの音を同時に出せる)など。
①以外は特殊奏法で楽器にダメージを与える危険性があるので、楽譜に指定がない限りはやらないほうが無難でしょう。
続いて、ティンパニの基本奏法であるロールの練習方法をご紹介します!
ロールの練習方法
ロールは♪=72で6連符の速さが基準と言われています。
ロールの練習をするときは、下記のポイントを意識しましょう。
- きちんとチューニングしておく→ヘッドの張りが均一でないと響きにムラが出て、音が綺麗に繋がりません。
- 右手、左手に差が出ないように意識する→左右のバランスが均等になるように練習しましょう。ゆっくりのテンポから始め、左右のバラつきが出始めたらテンポを落として、姿勢やマレットの持ち方を見直します。鏡の前で練習するのも効果的です。
右手、左手で差が出ないように叩くのは、ティンパニに限らず打楽器の基本中の基本の技術ですから、必ず身につけておきたいですね。
続いて、自然のロールする方法について解説します!
自然にロールをするには?
「左右均等にマレットを動かせるようになったけれど、どうしても自然なロールができない…」
と悩んでいる方は、もしかしたらマレットを速く動かしすぎているかもしれません。
ティンパニは音の余韻(サスティーン)が長い楽器です。
必要以上に打数が多いと、打つ音だけが目立ち、音が繋がっているように聞こえません。
前の音と連続した響きになるように、耳でよく聴きながら、速さや打数を調整する必要があるのです。
耳を澄ませてよく聴くことがポイントなので、ぜひ意識してください。
続いて、演奏を効果的にするクレッシェンドとでクレッシェンドで気をつけるポイントについて解説します!
クレッシェンドとデクレシェンドで気をつけることは
スムーズにロールができるようになったら、そこに強弱をつける練習をしましょう。
クレッシェンドとデクレッシェンドの方法は3通りあります。
- ストロークの強さ:最初は遅く、次第に速くしていくとクレッシェンド、その逆がデクレッシェンド。
- 叩く位置:次第にヘッド中央に向かって叩くようにするとクレッシェンド、次第にリム(縁)に向かって叩くようにするとデクレッシェンド
- ①と②のミックス
音量が大きくなったときに暴力的な音にならないように、また小さくなったときに音がまばらに聞こえないように注意して叩きましょう。
最後にまとめです。
まとめ
この記事では、マレットの持ち方や力の抜き方、ロールの方法など、ティンパニの基本的な奏法や練習方法をご案内しました。ポイントをまとめます。
- 正しい姿勢が重要:マレットを正しく持ち、余計な力を入れないで叩けるように意識して練習する。
- 基本奏法が重要:右手、左手を均等、同一に動かすことが基本。必ず身につける。
- 楽器の特性を知る:スネアなどに比べて、打ったときに跳ね返りが少ない、余韻が長いというティンパニの特性を理解して、演奏に活かす。
また、ロールはティンパニの奏法の中でも特に重要とされていて、教則本でも図や写真を使って詳しく解説されていますから、しっかりチェックしておくとよいでしょう。
上達するためには、毎日の練習が何よりも大事です。
効果的な体の使い方や練習方法を知って、今よりレベルアップできるといいですね。