ティンパニマレットは、球の硬さでソフトからハードまで、柄の材質も木や竹などさまざまな種類があります。
吹奏楽で使いやすいハードタイプ、軽量でしなりの良い竹製グリップのティンパニマレットが最近のトレンドです。
使うマレットの種類が楽譜に指定されている場合もありますから、1種類持っていればいいということではなく、必要に応じて買い足していく必要があります。
どんなティンパニマレットを選べばいいか説明していきましょう。
目次
ティンパニマレットの柔らかさ種類は?
ティンパニはマレットにより音色が変わるので、柔らかさの違うものを3種類ほど揃えるのが理想です。
用途にもよりますが、下記の組み合わせがおすすめです。
- ハード、ミディアムハード、ミディアム
- ハード、ミディアム、ミディアムソフト
- ベリーハード、ハード、ミディアムハード
上記のパターンで3種類持っていれば、大体の曲に対応できるでしょう。
実際には3種類では足りず、数十種類のマレットを持つ奏者も多いです。
では、ティンパニマレットの柔らかさの種類で何が違うのでしょうか。それぞれの特徴や使い分けについて説明していきましょう。
音を際立たせたいならハードかミディアムハードを
硬さの度合いとしてはミディアムハード<ハードです。
特徴を以下にまとめました。
- マーチなど一定のリズムを刻む場面に適している
- 細かく早い動きが必要なときに音がブレない
- 音が悪目立ちする場合がある
硬めのマレットは、全体の雰囲気を引き締める効果があります。
音を馴染ませたいならミディアムかミディアムソフトを
硬さの度合いとしてはミディアムソフト<ミディアムです。
特徴を以下にまとめました。
ミディアムの特徴
- 音の伸びが良いので、ゆっくりした場面に適している。
- 他の楽器と音の馴染みが良い。
- 音の輪郭がぼやけてしまうことがある。
柔らかめのマレットは、全体の雰囲気をリッチに格上げする効果があります。
柔らかさの表記はメーカーごとに異なるので、例えば同じミディアムと記載されていたとしても、柔らかさが同じとは限りません。表記は目安と考えましょう。
ティンパニの音色は、マレットの球の柔らかさも以外にグリップの材質にも大きな影響を受けます。
次に、グリップの素材の種類について説明していきましょう。
素材の種類は?
ティンパニマレットのグリップ素材の代表的なものとして、下記が挙げられます。
- 竹製
- 木製
- 樹脂製
それぞれの素材の特徴を説明していきましょう。
軽量でしなりの良い竹製
竹製グリップの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 軽量でよくしなる→初心者や手の小さい奏者にも使いやすい素材
- 打った時の「かえり」が適度にある→「かえり」がないと、手が痛くなりやすい
- 乾燥に弱い→割れてしまう可能性もあるので、取り扱いには注意が必要。
- 他の素材よりも高価
竹製のティンパニマレットは、メーカーにもよりますが1万円近くするモデルがほとんどです。
初心者には手を出しにくい価格ですが、大変扱いやすい素材なので検討してもいいかもしれません。
重量感が奏者を選ぶ木製
木製グリップの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 重さがある→中上級者向けだが、力強い音色を出せる。
- しなりはあまりない→慣れないと手が痛くなりやすいが、安定して叩くことができる。
- 環境による変化は少ない→取り扱いは難しくない
- 価格は幅広い→低価格のものから、プロ奏者のシグネチャーモデルまである。
ティンパニマレットの柄としては最も一般的な素材で、竹に比べれば重量がありますが、細身に作ることで重量を抑えたモデルも発売されています。
強度に優れた樹脂製やアルミ製
樹脂製、アルミ製グリップの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 軽量で安定した素材→マレットの取り扱いに慣れていない初心者や子供でも使いやすい素材。
- 滑りやすい→グリップテープを巻くことで解消できるが、グリップテープが音色に影響を与える場合がある。
- 比較的低価格。
樹脂製、アルミ製グリップは比較的低価格なものが多いですが、天然素材と合成素材の長所を兼ね備えたカーボンファイバー製の高級モデルも発売されています。
次は、初心者におすすめのメーカーやティンパニマレットの選び方について解説します。
初心者におすすめメーカーや選び方は?
初心者が初めてティンパニマレットを買おうと思った時、どこに行き、どう選べばいいのでしょうか。以下で解説していきます。
在庫がある店、試せる店は少ない
残念ながら、一般的な楽器店ではティンパニマレットを在庫していないことがほとんどです。
多くの場合、メーカーやモデルを指定した取り寄せ対応になるので、まずは自分で調べる必要があるのです。
調べ方としては、以下の方法があります。
- 先輩や先生におすすめのメーカーやモデルを聞く。
- 先輩や先生が使っているティンパニマレットを使わせてもらい、気に入ったものがあればそのモデル名を教えてもらう。
- パーカッション専門店に相談する。
インターネットでの情報収集も良いのですが、情報量が多くかえって混乱してしまうこともあるので、上記の方法である程度モデルを絞ってからチェックするといいでしょう。
パーカッション専門店に行けば、在庫があることが期待できますし、試せる可能性もあります。
専門店は少ないのですが、メールや電話などで相談してみるといいでしょう。
初心者におすすめのブランド3つ
ティンパニマレットを初めて購入する場合は、やはりよく知られたブランドの定番モデルを選ぶのが無難です。
ティンパニマレットの有名メーカーとして、以下が挙げられます。
ティンパニマレットの有名メーカー
- YAMAHA(ヤマハ)
- PLAY WOOD(プレイウッド)
- PEARL(パール)
そのほかにMIKE BALTER(マイクバルター)、Vic Firth(ビックファース)、Pro-Mark(プロマーク)、ハンドメイドブランドとしてKATOマレット(加藤マレット)、Sikaマレット(シカマレット)などがあります。
YAMAHA(ヤマハ)でおすすめは520Fシリーズ
出典:YAMAHA
管楽器の総合ブランド、ヤマハは学校備品に多く採用されていますので、部活動でヤマハ製ティンパニマレットを目にする機会が多いのではないでしょうか。
YAMAHAのおすすめモデルは、愛知県立芸術大学准教授 深町浩司氏が監修した520Fシリーズです。
スタッカートが綺麗に出せるTPS-521F、豊かな響きでリズムが明瞭に刻めるTPS-522F、低音をしっかり鳴らせるTPS-523Fがラインナップされ、揃えて持つことでさまざまな演奏表現に対応可能です。
モデル名 | 硬さ | グリップ | 希望小売価格(税抜) |
TPS-521F | ベリーハード | 木製 | ¥6,800 |
TPS-522F | ハード | 木製 | ¥6,800 |
TPS-523F | ミディアムハード | 木製 | ¥6,800 |
PLAY WOOD(プレイウッド)でおすすめはT-12シリーズ
出典:プレイウッド製造元 有限会社バロック・ミュージック
バリエーション豊富で低価格・高品質のプレイウッドは、学生を中心に愛用者が多いブランドです。
プレイウッドのおすすめモデルは、T-12シリーズ。
アルミパイプを採用した軽量のマレットで、ティンパニのみならずトムトムなど他の楽器にも使用可能です。
お手頃価格なので、硬いものから柔らかいものまで一式揃えてしまうのも方法です。
モデル名 | 硬さ | グリップ | 希望小売価格(税抜) |
T12-H | ハード | アルミ | ¥4,000 |
T12-M | ミディアム | アルミ | ¥4,000 |
T12-S | ソフト | アルミ | ¥4,000 |
PEARL(パール)でおすすめは662シリーズ
出典:パール楽器製造株式会社
ドラムなどで有名なパールは、近年コンサートパーカッションにも力を入れている日本のメーカーです。
パールのおすすめは、最もスタンダードな662シリーズ。リズムに歯切れの良いアクセントがつけられる662-H、幅広く使用できる標準モデル662-M、重く柔らかい音が出る662-Sがラインナップされています。
モデル名 | 硬さ | グリップ | 希望小売価格(税抜) |
662-H | ハード | 木製 | ¥3,900 |
662-M | ミディアム | 木製 | ¥3,900 |
662-S | ソフト | 木製 | ¥3,900 |
まとめ
ティンパニマレットは、ティンパニ本体と同じくらい重要なアイテムです。選び方や買い方をまとめます。
- 硬さ違いで3種類程度持つのがベスト。
- グリップの種類は竹製、アルミ製、樹脂製などあるが、木製が一般的。
- できれば試してから購入したいところだが、在庫がある店、試せる店は少ない。
- 初心者におすすめのメーカーとしては、価格が比較的抑えられているヤマハ、プレイウッド、パールがおすすめ。
自分に合ったマレットを見つけて、ティンパニが今よりもっと上達するといいですね。