金管楽器にとって重要な役割を果たすミュート。
一口にミュートといっても、コルク製や木製、金属製のものなど種類は豊富です。
ミュートの本来の目的は音を小さくすることですが、ミュートはそれだけではなく音の表情を変えるなどの役割も担っています。
そこで今回はトロンボーン奏者にとってのミュート選びについてご紹介します。
トロンボーンのミュートの種類は?おすすめは?
一口にミュートといっても、その中には種類が色々とあります。
その中でも代表的なストレートミュート、カップミュート、ウォームアップミュートについて、ここでは一つずつ詳しく見ていきましょう。
ストレートミュート
一番多くのジャンルで使われる代表的なミュートです。
壺のような形をしていて、ベルの中に差し込んで使用します。
これを用いることで、金属の共鳴音のようなキーンとした音質に変化させることができます。
カップミュート
上のストレートミュートに筒状の円形物を加えた形のミュートです。
少し音はこもった印象になり、ストレートミュートのような金属音は抑えられます。
はっきりした音よりも抑えた音を用いたい時に使用されます。
また、ストレートミュートに加えた円形物部分は取り外しが可能となっており、ストレートミュートに近い使い方もできるのですが、ストレートミュート程金属感の強い音にはなりません。
ウォームアップミュート
こちらは実際の舞台上で演奏する用ではなく、ウォームアップシーンに特化したミュートです。
最高のパフォーマンスを舞台上でするために、本番直前の舞台袖などでのウォームアップを可能とすることを目的としています。
通常通りに吹くと小声の会話程度の音量まで、音量を下げることができます。
ここまで、ミュートの種類についてみてきました。
ストレートミュートは金属音の強い音、カップミュートはこもった音、ウォームアップミュートはウォームアップシーンに用いられるミュートだということがわかりましたね。
ミュートの種類 | 音の印象 |
ストレートミュート | 金属音の強い音 |
カップミュート | こもった優しい音 |
ウォームアップミュート | 静かな音 |
他にもワウワウミュートと呼ばれるカップミュートに穴が開いた形状で、その穴を塞いだり放したりすることで音の高さを変えられるものなどもメジャーなものとして挙げられます。
では次に、ミュートの材質についてみていきましょう。
材質で音や吹きやすさは変わる?
トロンボーンのミュートの材質には、どのようなものがあるのでしょうか。
これはコルクや木製、金属製、プラスチック製、さらにはファイバー製などがあります。
種類も多くありますが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。
ひとつずつこちらも、見ていきましょう。
コルクのメリットデメリット
コルクの粒を圧縮して成形することによりつくられたものです。
ミュートの根本の部分はコルクではめるようにできているため、その部分に用いられます。
ミュート用のコルクには集成コルクとラバーコルクの2種類があり、それもさらに接着剤のあるもの・ないものにそれぞれ分かれています。
これはご自身で選んで装着して、とする人もいるのですが、手先に自信がある方以外は楽器店で着けてもらった方が安心して使用できます。
木製のメリットデメリット
あまりメジャーではないですが、木製のミュートもあります。
こちらはメリットとしては、木製ならではの包み込むような柔らかなサウンドを出すことができます。
シーンとしては室内楽からオーケストラまで、幅広く使用することが可能です。
デメリットとしては傷みの早さや耐久性の面があげられます。
金属製のメリットデメリット
消音効果が高く、メジャーな材質は金属製となります。
金属製のメリットとしては反応の良さや充実した響きなどがあります。
シーンとしては、ジャズからクラシックまで幅広く好まれます。
デメリットとしては金属ならではの重さがあります。
プラスチックのメリットデメリット
こちらも消音効果に優れ、メジャーな材質となります。
メリットとしては軽いこと、また木製ミュートに近いような柔らかいサウンドとなること、取り扱いの容易さなどがあります。
木製と金属製のいいとこどりのようなものなので、デメリットとしては特にこちらはありません。
ファイバーのメリットデメリット
こちらも世界的に多く使われている材質です。
メリットとしてはより温かみのある音色を表現することができます。
デメリットとしては逆に硬い音が表現しづらいといった点があります。
ミュートの材質 | メリット | デメリット |
木製 | 包み込むような柔らかなサウンド | 傷みの早さ、耐久性 |
金属製 | 反応の良さ、充実した響き | 重い |
プラスチック製 | 軽い、柔らかなサウンド、扱いが容易 | 特になし |
ファイバー製 | 温かみのある音 | 硬い音が表現しづらい |
まとめ
ここまでトロンボーンのミュートについて、種類や材質についてみてきましたが、気になるものはありましたでしょうか。
トロンボーンミュートの種類と材質
- 種類:ストレートミュート、カップミュート、ウォームアップミュートなど
- 材質:木製、金属製、プラスチック製、ファイバー製など
ミュートを装着することで吹き心地やピッチが変わってしまうことはある程度仕方ありません。
しかし選ぶものによって、消音度合いや音色、抵抗感、ピッチ、吹奏感などはそれぞれ違ってきます。
そして抵抗感が強いものほど、消音効果は高くなります。
ご自身の目的や好み、用途に合わせたミュートを、実際に吹いていく中で選んでいってくださいね。